STORY新社屋ストーリー

水前寺の増永組の新社屋

きっかけは、平成28年の熊本地震。
新たな歴史を歩みはじめる、リスタートラインに。

平成28年4月に熊本を襲った大地震。前震、本震と、2回の大きな地震の影響で、震源地である益城町を中心に、熊本県下の広範囲にわたって甚大な被害を受けました。昭和47年に建設された増永組本社ビルも、地震によって受けた被害が大きく、新社屋建設が計画されました。そして、平成30年1月。増永組の本社事務所とともに、賃貸オフィスの機能を持たせた新社屋が完成しました。

増永組の新社屋の内観外観

STORY 01設計

担当設計士

西島 洋祐

Yosuke Nishijima

(所属)
一級建築士事務所 2ND STAGE

担当設計士の西島洋祐

これまでお世話になった会社へ、
技術提供という形で貢献したかった。

設計の役割は、クライアントの要望を汲みとり、それをもとに図面をひき、積算し、施工に引き継ぐ。最初から全体を把握している、いわゆる総合プロデューサーです。平成25年に増永組を定年退職し、「2ND STAGE(セカンドステージ)」という設計事務所を起ち上げ、文字通り第二の人生を歩んでいた私にとって、今回の増永組の本社事務所となるビル建設は、どうしても手がけたかった案件でした。退職するまで32年間勤めましたが、設計だけでなく、現場監督、営業までオールマイティに経験を積んできたことが、現在の設計事務所を運営するにあたって礎となっています。増永組での技術の研鑽の集大成として、自社ビル設計という形で関わることができ、とても感謝しています。

増永組の新社屋の内観

オフィスビルらしさを、
細部まで突きつめた意匠。

今回のビル設計のテーマは、シンプルであって、バランスが良い建物。増永組の事務所をはじめ、多くのテナントが入るオフィスビルなので、街並みに馴染むようなシンプルな意匠にこだわりました。2階から上階には熱線反射ガラスを採用し、室内の採光を考慮。立地のよさに加え、オフィス事務所として明るく使いやすい室内空間をつくり、常にテナントで満室になっているビルをイメージしています。さらに、熊本地震を経験から、地震に強く、弱点が少ないコンクリート造を選びました。これまで"理論"としてあった耐震構造が、今回の地震の経験によって"確信"となりました。補強の方法などを検証しながら、地震に強い建物になったと思います。

STORY 02施工管理者

施工管理者

古庄 秀充

Hidemitsu Furusho

(所属)
建築部 / 一級建築施工管理技士
(入社)
平成20年4月

施工管理者の古庄秀充

解体工事の時に言い渡された、
「施工管理者」の役割。

入社8年目。これまで大型建設の現場は、現場所長のもとで経験を積んできましたが、現場の施工管理者として取り仕切るのは、今回の増永組本社ビルがはじめて。上司からそのことを言い渡されたのは、旧本社ビルの解体工事の時でした。最初に言われたときは「ヤバイな…」と、不安でしょうがなかったのですが、本社の建て替えに携われること、しかも発注者としての施工管理者の立場で取り組めることは、一生に一度も無いことだと思い、受けました。施工管理者としての仕事は、工期や、材料の手配、職人さんの手配など、すべて自分の采配。現場のおさまりを確認しながら、判断していくこと。しかもその判断を、悩むことなく、瞬時に正しいことを選択しなければなりません。自分の段取りひとつで作業が止まってしまうこともあるので、かなり緊張感のある現場でした。

増永組の新社屋の外観

熊本地震の経験から、耐久性に配慮。
塗装の仕様に工夫。

熊本地震のこともあり、新社屋ビルの建設には、水漏れ、耐久性について、工夫を盛り込んでいます。建設が進む中で、施主の立場から設計士に何度も相談しながら、塗装の仕様、外壁の仕様など防水の方法について考えました。図面をもとに、予算をやりくりしながら、納得のいくような仕様を考えていくプロセスにおいて、会社から施工管理者として選ばれた、という気持ちを大切にしながら取り組んできました。また、新社屋には旧社屋と同様にセキュリティの整備や、使い勝手のいいオフィスビルを目指して様々な工法を行いました。これから長い年月、増永組を支えていく建物なので、その建設に関われたことが誇りに思えます。